哺乳類
●自動写真撮影
哺乳類の体温に反応するセンサーと連動し作動するカメラ(センサーカメラ)を用いて調査を行います。この調査により、ふだんは目にすることのできない哺乳類の姿を撮影することができます。タヌキ、ハクビシン、キツネ、イタチ、ノウサギ、ニホンリス、イノシシ、ネズミ類などが主な対象となります。
哺乳類の生態調査に加えて、近年では、ニホンジカやカモシカなどの獣害対策調査として、センサーカメラによる撮影調査が行われています。
●捕獲(トラップ)調査
目撃や痕跡では種の判定が困難な場合が多いモグラ類・ネズミ類を対象にした調査方法です。捕獲にはシャーマントラップやはじき罠などがあります。なお、調査は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」に則り、鳥獣捕獲許可証を取得して行わなければなりません。
●フィールドサイン(生活痕跡)調査
大型・中型哺乳類を対象とした調査方法です。哺乳類では、生息個体を直接目視で確認することが困難なため、各種の生活痕跡(フィールドサイン)を現地で調査し、生息種を推定する方法です。
おもなフィールドサインとしては、食痕、足跡、糞などがあります。
鳥類
●ラインセンサス(ルートセンサス)調査
鳥類の種の構成や生息密度、環境別・季節別の生息状況の把握を目的に行います。調査対象地域にあらかじめ踏査ルートを設け、鳥類の行動に適した時間(早朝など)に、一定速度(時速1~2km)でルートを歩きながら、片側25m両側50m以内の範囲で確認できる鳥の種類、個体数、行動などを記録します。なお、鳥の確認位置や飛翔経路は地図上にプロットします。
●ポイントセンサス(定点センサス)調査
鳥類の種の構成、生息密度の把握、対象環境の利用状況の把握を目的に行います。特に水鳥や猛禽類の生息状況把握に有効です。対象とする地域が一望できるような地点に定点を設け、定点から一定範囲、一定時間内に確認できた鳥の種類や個体数を記録します。なお、鳥の確認位置や飛翔経路は地図上にプロットします。
両生類・爬虫類
●任意採取法
調査地域内の川や水田、水路、ため池などを中心に踏査し、成体や幼体、卵などの捕獲確認もしくは目視、鳴き声などにより、どのような両生類や爬虫類が生息しているのかを確認します。
水生生物(魚介類・底生生物等)
●魚類捕獲
魚類相の把握を目的に行います。その手法としては、投網、釣り、刺し網など、いくつかの漁具を使用して魚類を捕獲し、魚種、個体数を記録します。なお、調査は各都道府県の「内水面漁業調整規則」に則り、必要に応じて特別採捕許可を得る必要があります。
●ネット・トラップ採取法
たも網などネットによる採集は、遊泳動物(魚類)、魚卵・稚仔魚、底生生物を対象に種の構成や個体数、現存量、分布状況の把握を目的として行います。
また、トラップによる採集は、セルびん、筌(うけ)などに餌を入れて底に沈め、集まった魚類や底生生物を採取します。
●コドラート法
底生生物や付着生物などを対象として、単位面積当たりの出現種数、現存量を定量的に把握する目的で行います。河川の底生生物では、サーバーネットを使用します。
昆虫類
●スイ―ピング法・ビーティング法
昆虫類の捕獲調査には、「見つけ採り」、あるいは「石起こし」のほか、よく使われる調査手法に、捕虫網を用いて植物のスイーピング(すくい採り)やビーティング(たたき落とし)採集法があります。
●ベイトトラップ法
ベイトトラップ調査はおもに地表歩行性昆虫類を確認するため、代表的な植生環境において実施します。
トラップにはプラスチックコップを用い、コップの口を地表面と同じ高さになるまで埋設し、コップ内に誘因餌(焼酎に黒砂糖を溶かしたものなど)を入れて、落下した昆虫類を採集します。トラップは1昼夜おいて翌日回収します。
●ライトトラップ法(カーテン法)
ライトトラップ法(カーテン法)は、夜間、白布(カーテン)を見通しの良い場所に張り、その中央で水銀灯や、蛍光灯100Wを光源として誘引された昆虫類を採集する方法です。採集は日没後から始めます。
●ライトトラップ法(ボックス法)
ライトトラップ法(ボックス法)は、光源の下に誘引された昆虫類が箱の中に落ち込むように、大型漏斗と昆虫類収納ボックス部からなる捕虫器を一晩設置して採集する方法です。光源に紫外線灯20Wを用い、日没前に設置し、翌日早朝に回収します。
希少動物の保全に関する調査
●注目すべき動物種等
資料調査や現地調査に確認した注目すべき動物種等は、GPS等を用いて可能な限り正確な確認地点を記録します。また、確認地点ごとに生息状況(個体数など)と生育環境(地形、植生など)を記録し、写真撮影を行います。